伊東屋 ロメオダブルリングノート(A5)
「おおっ、スーパーシルキー! トモエリバーの厚いバージョンか!?」
と思ったのは初めのうちだけだった。
「こんなにツルツルなのに字書けるの?」ぐらいテカってる。
(プラスチックか!?と見まごう質感)
その不安を払拭するくらい、インクをたっぷりと誘発、インクの乗りも良く、なめらかに楽に書ける。
んだが、書き進んで行くと雲行きが怪しくなってきた。
量を書くと判然としてくるのね。紙質の詳細。
Romeo Notebook / Tomoe River (Cream)
インクたっぷり誘導型(どういう表面加工でこういう仕様になるのか知らないが、トモエリバー然り)なので字は他の紙より極、太くなる。
濃淡はトモエリバーより出るし(つまり相当出る)、こんなにツルツルなわりに驚異的に乾きも早い。
トモエリバーの紙質がペラ過ぎて心もとなかったりするんだが、これは109.2g/㎡と筆記用紙にしてはかなり厚口。無論裏抜け、滲みの類いとは縁遠い。「使えるよね!?コレね!?すごくね??」
浮かれたんだけどね、数ページで手に疲れが出だした。
滑り過ぎる。
「気のせい?気の迷い??」
と思って試しにトモエリバーに書いてみたんだが全然違うのね、ペン先の当り。
絶妙、トモエリバー。シルキーさとザラつきの狭間で。
ヌラヌラにインクを誘発、すべすべに書けつつも程よい抵抗感がペン先を受けとめてくれる感じ。
B5ノートで1ページ35行×30文字平均、一日10ページ(=1万字程度)書いても全く疲れなかったし、どんつか書けたのよ。
これは、筆記体ならいいのかもしんない。
日本語楷書で書くには「ツルツルの廊下を歩く時、足を止めるために力を要する」しんどさを覚える。抵抗感が無さ過ぎてかえって疲れる。
さらに試しに、「紙質良いけどちょっと滑り過ぎる=大量筆記には疲れが出てくる」美篶堂(帳簿用紙)引っぱり出して来て書いてみたけど、このロメオのほうがはるかに滑った。
「シルキーならいい」って話じゃなくて「シルキーでも、大量に書いて疲れない」。
筆記用紙にお願い。(これをトモエリバーはクリアしている)
正直、画材としての方が魅力がある。濃淡出るし。
四六版くらいなら是非購入したい。
抵抗感がまるで無いフィギュアスケート並みのペン先の滑り、
大振りな勢いのある線描には他に無い爽快感だと思う。
Ito-Ya "Romeo" / QuoVadis "Habana"
ちなみに大きさは20×15cm、正統A5。
(リングの分、有効紙幅は狭くなるから書いてるとチマチマと肩身が苦しい。リングもやはり邪魔でストレス。紙面の小ささのイライラを増す)
せめてアバナくらいの大きさは欲しい。
(引っぱり出したアバナを見て、手に持った重厚感といい「あ、また買おうかな」。
そう思わせるノートじゃないと再購入には至らない。当たり前だけど)
この意匠は他のオッサン系高品質紙ノート(アピカ・プレミアム、ライフ・ノーブル、ツバメ系)より趣味が良いと思う=使用に耐える。
とりあえず2週間くらいかな(70枚=140頁)、使ってみます。
ttm
追記1:滑り過ぎて書くことにほとほと疲れ、筆記5日目にして使用を断念。筆記ノートを最後まで使わず途中放棄することは私には相当快くない(決断の要る)こと、山のようにノートを消費してきて初めての事態。
追記2:大量筆記しない人には、決して悪くないどころか、インクの乗りや濃淡の発色、スーパーシルキーな書き心地は特筆すべきものがあるので、全面的には否定しない。
追記3:ペン先が悪いペンでもインクフロー良く滑らかに書けるメリットは、
逆に「悪化したペン先の早期発見の支障になる」=他の紙では引っかかって書けないことに気付かないデメリット、と表裏。トモエリバー然り。
(実際、現在不調のM205、引っかかりを感じること無く書けるのはこの紙とトモエリバーだけ)
追記4:協和紙工『Artisan』と同じ紙(Smooth-K)らしい。よってそちらのノートの購入も断念した。