2016/09/09

KUM "The Masterpiece"












Long Point Sharpeners 

KUM "The Masterpiece"
KUM "Long Point 400-5L"
M+R "Metal Pencil Sharpener Triple"



ここに
KUM "Automatic Long Point Sharpener" ↓ を加えるべきだが


色鉛筆を大量消費して描いていた時期に酷使、あっさり壊れて使えなくなってしまったため良い印象は無い。
(ちゃちなプラスチックのフタの接続部分が簡単にハズレて壊れる。ブレードの取り付けも甘く、すぐに芯がボキボキに折れるようになってロクに削れなくなる)
その時ほど酷使しない現在なら使えるかもしれないが、再度買う気にはなれない。
(取り付けベースがプラのものは結局ガタが来るのが早い。複数多数使ってきた経験則)


そうこうしてマスターピースが発売された(たぶん去年)。


KUMの『ロングポイント400-5L』以外の
『マスターピース』『オートマチック・ロングポイント』『M+R三穴』が、
「木軸のみ削れる」+「さらに芯先を削れる」ダブル機能を持っている。

大画面で色鉛筆を猛スピードで消費していた頃には
「木軸のみ削れる」(ムダに芯を削らない)機能しか必要ではなかった。

が、現在真逆に主に鉛筆で細かいタッチで描くため、
「長く、かつ細く芯を出せる」機能が必要になってきた(なるべく削る手間を少なく長時間細さをキープして描ける)
これは「筆記」使用者のニーズにも合うんだろうと思う。







一目瞭然だが、マスターピースが突出して(イカレて)いる。
手元には無いが、オートマチック・ロングポイントはマスターピースのストッパー(ブルーのプラ部分)が固定されている状態なので、研ぎ出す長さも限られていた(常識範囲内だった)。

M+Rは、芯は同じく際限なく長く出せるものの、芯を研ぎ出す穴の刃の角度が微妙で、尖らせようとすると芯先が砕けて結局「普通のシャープナー並み」の結果になってしまうことがある。
(画像は普通に削れるもう一つの穴で削った後に木軸のみ削ったもの)。
木軸だけ削り出すのが目的の過去にはヘビーユーズだった(オートマチック・ロングポイントのように壊れない。作りが堅牢)が、
「長く、かつ細く」削り出す機能を完璧に持っているのは、ザ・マスターピース以外、現在携帯用では絶無だろう。
削り跡も非常に美しい。











芯径に依っては(H以下の細い硬度等)木軸が少々残ってこういうことにもなるが、これはまあ遊び過ぎ。








ちなみに、マスターピースが来る前は、
なるべく描いている最中の削る手間を減らす+芯が長めでないと寝かせて描く等が出来ない、ため
カッターで木軸を削って芯を長く出しておき、必要に応じて芯先を芯研器等で軽く削る、という方策だったが、
その自分で用意した鉛筆の切っ先の角度とマスターピースのそれとがかなり似通っているのを見て、
つまり「使える」のを実感した。

実際、すこぶる使える。削り跡も美しいので気分も良い。







替えの2枚のブレードがこんな隙間に入っている
(のに気付かず、「どこにもねえよ!!??」とお店に苦情、直後に発見、「すんません」平謝りメールを出すハメになった)








しかし、とにかく、デザイン、最高。

ヘンな高級感に走らず(◯ックスみたいな、真鍮ってだけでオッサン大喜びだが機能的にはどうなのよ、とか)、
かといって日本製みたいに安っぽい学童用しかない絶望的なデザインでもなく、
レトロな工具的な配色、
全く無意味な「フカフカにクッショニングがある」ケース入り、も異常に愛らしい。
トータル、「ちょっとギミックだが本格的」な、デザインと機能のバランスが相当高度なセンス。
(はっきり言って、鉛筆削るのに「ケースから出してさらにプラケースから出す」のは全く効率的ではない。んだが笑って許せる愛嬌を感じるのは、伊達ではなく目を見張る実力があるから)
海外価格でも1500円程度という高額設定も「上手いな〜」と感心する。
(子供は初めから眼中に無い。大人の、それも玄人狙い。強気の価格が却って自信を物語り箔を付ける)
「もの」として持っていて楽しい、嬉しいデザインと存在感は、他に無い高機能あってこそ。
売れるよ。
(事実売れていると思われる。ネットで見るとYoutube他、コアな鉛筆ユーザーが笑えるくらい使っている)。

日本の文具業界、新旧どれも野暮/ぬるい。このギリギリのキワどいセンス、逆立ちしても無理だろう。